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2014-07-13 18:22 | カテゴリ:鮫川村焼却炉
鮫川村焼却炉建設に関して法的な手続きの為の届出書が2012年10月30日に提出されています。
これは、「特定施設設置届出書」「ばい煙指定施設設置届出書」「騒音指定施設設置届出書」等、
工事を始めるにあたって許可を取る為に出す届出書です。
それを事業主の環境省へ情報公開をしました。
公開されて当然のものです。
なのに法的な手続き上の届出書も黒塗りの部分があったのです。
しかも、ご丁寧に、メーカーの日立造船へ公開して良いかどうかをお伺いもしてました。
するとメーカーの「ノウハウ」だからといって、火床面積や、排ガス温度等が黒塗りで出て来たのです。

参考:「鮫川村焼却炉で、鮫川住民より企業を守る環境省。黒塗りで安全と言われても、、、」

こちらは環境省が日立造船へ情報公開しても良いか照会した文書
日立造船照会

それに対して日立造船からの回答文書
日立造船回答

日立造船回答2

日立造船回答3

日立造船回答4


あまりにも酷いので、これに関して、仲間が異議申立てをしました。
それに対し意見書の提出が認められましたので、先日6月30日に意見書を「審議会」へ提出しました。
この経過を多くの方へ知っていただきたいので意見書内容をここへアップします。

1.法的に届出が義務付けられている文書であり、開示は当然である
 
 請求人が平成25年12月20日付で開示請求した文書類は、環境省が事業者として実施している事業(正式名「放射性物質を含む農林業系副産物の焼却実証実験に係る調査業務」、以後「本事業」という)の実施に先立って福島県知事あるいは鮫川村長にあてて出したもの、及び、本事業によって建設された鮫川村焼却炉が爆発事故を起こした後、労働基準監督署あてに出した電離則(略称)にもとづく作業届です。これらの文書はすべて法律で提出が義務づけられており、事業者はこれらの届出によって、当該事業がまちがいなく法令に適合していること、事業が公明正大に行われていることを示さなければなりません。言うまでもなく、法律は万人が目にすることができる明文規定であり、特に、環境汚染を防ぐために制定された環境法令の場合、その法令にもとづく届出も、全部公開されなければなりません。
 なぜなら、これが民間の事業なら、事業に先立って環境影響評価(アセス)が行われますが、そこで評価の基準になるのが、事前相談のレベルで得られた数値やデータであり、それはそのまま環境影響評価書案などに記載され、市民はその数値やデータをもとに意見を述べ、また変更や中止を求める権利が担保されているからです。
 しかし、本事業は、世界初の「実証試験施設」です(後述)。一般的に、「実証施設」とは、新技術を開発するために行う、あるいは施設などの能力を検証するために行うもので、一般の施設よりもその稼働にあたっては慎重な判断と対応が必要とされています。ところが環境省は、施設の処理能力を199kg/hと設定することで、環境影響評価法による環境アセスも、廃棄物処理法のアセスも逃れたのです。当然、事前説明もしておらず、住民の同意も得ていません。
 請求人らは、環境省が事業のすべての段階にわたって、このような欺瞞と隠蔽をくりかえしてきたのを目撃してきました。しかし、まさか今回のように、法律にもとづく届出の数値やデータまでも一部非公開とするというのは想定外でした。これは単に市民の知る権利の侵害というのみならず、事故原因にかかる悪質な隠蔽工作であり、違法行為であることは明らかです。審査庁にあたっては、この旨を考慮され、全面公開の答申を出していただくよう求めます。
 以下、処分庁の非公開理由につき、以下のように反駁します。

2.環境省による情報公開法13条の意見照会は不適当

 本件行政文書開示につき、環境省は日立造船株式会社(以下、「日立造船」という)に対し、「開示決定などを行う際の参考にするため」として、「行政文書の開示請求に関する意見について」①という照会文(平成26年1月23日付。環廃対発第1401236)を出し、意見を求めています。そして、それに対する日立造船の意見書(同年1月30日付②)をもとに、請求人の公開請求を一部非開示とすることを決めています。
 しかし、情報公開法第13条が想定しているのは、いわゆる「第三者情報」ですが、本事業は環境省の直轄事業であること、環境省が施設の仕様を指示しているという事実があること、請求者は第三者の情報を求めているわけではないことを考えれば、この意見紹介は失当といわざるを得ません。

 第13条(第三者に対する意見書提出の機会の付与等)開示請求に係る行政文書に国、地方公共団体及び開示請求者以外の者(以下この条、第19条及び第20条において「第三者」という)に関する情報が記録されているときは、行政機関の長は、開示決定等をするに当たって、当該情報に係る第三者に対し、開示請求に係る行政文書の表示その他政令で定める事項を通知して、意見書を提出する機会を与えることができる。

 しかも、日立造船はこの意見照会を奇貨として、その意見書において、当該文書をほぼ全面非公開とするよう求めていますが、これこそ環境省の狙い――「企業益がかかっているから出せない」――だったと考えられます。幸い、情報公開課の努力によって、かなりの部分は公開されましたが、それでも肝心の部分が非公開のままになっているのは、環境省の強い抵抗のためだと思われます。
 つまり、環境省は、企業の開示拒否を口実に、国民の知る権利を否定しているわけですが、環境省は何よりも国民の健康・安全を優先しなければならず、国民を犠牲にして、企業益と省益の保護に動いていいはずはありません。審査会においては、本事業が、住民の生命・安全を脅かす可能性が非常に高いものであることに鑑み、全情報の開示を命じていただきたく思います。

 3 環境省が仕様を指示しており、日立造船への意見照会はなじまない。

 しかも、本事業の指示を出したのは環境省です。環境省と日立造船との間で締結した委託契約書③および付属の仕様書(平成24年9月24日 )④を見ると、環境省が、仮設焼却システムの構造(「傾斜している床炉が回転して燃焼させる」など)や仕様、稼働後の調査業務などを細かく指示・指定しています(契約書はその後、事業の支出額や期日延長を反映して何回か書き換えられていますが、基本的なことは変わっていません)。
 業務を受託した日立造船は、その環境省の指示通りに施設を建設・運営することを、この契約書で約束しているにすぎず、契約書および仕様書は全部公開されている以上(印影除く)、それに基づく各種工事の事前届出も公開されて当然です。そうでないと、日立造船が、果たして仕様書に準拠した工事を行っているかどうか、納税者は誰も知ることができず、事業の安全性も確認することができません。
 これは、福島第一原発事故の「事故処理」を実施するための施設ですが、その稼働によって、さらに放射能がまきちらされる可能性が非常に高いのです。原発事故を起こした国の住民として、ごく一部の政策担当者以外、国民の監視の目が届かないような事業を、もはや黙って見過ごすわけにはゆきません。ましてや、本事業は多額の税金を費やして行われる公共事業であり、国民はその公共事業の実態を知る権利、問題があればその事業の停止・変更を求める権利があり、法は国民のそのような権利を保証している以上、資料は(個人を特定できる情報を除き)全面開示されるべきです。


 4 非開示箇所は「技術ノウハウ」にあたらない

 なお、上記、日立造船の意見書には、非開示を求める理由として、①「技術ノウハウである」、②「任意に提供した情報である」の二つをあげていますが、これらの非開示理由は以下の通り説得力がありません。まず「技術ノウハウ」に関して説明します。

 【公開請求までの経緯】
 まず、本施設は、放射性物質を有効・安全に処理できるかどうか確認するための実証施設であり、当然ながら、「安全性」が証明されているわけではないこと、むしろ危険性があることをご承知おき下さい。この「安全性が証明されていない」ことは、そこで生活している住民およびその関係者にとって非常に重大な問題です。請求人らはこの「安全性」につき、事業者である環境省および鮫川村などに、何回も説明を求めましたが、説明は得られませんでした。そして環境省は、住民の反対を押し切って2013年8月19日、施設を本格稼働させています。
 しかし、そのわずか十日後、2013年8月29日、当該施設は大音響とともに爆発しました⑤。住民の悪い予想が現実のものとなったのです。ところが、環境省は、住民に何の説明もなく、事故原因は人為的ミスであると結論づけ、施設の修理・再稼働を決めてしまいました。そのため、請求人が事故報告書を開示請求したところ、白河労働基準監督署は、「事業者及び発注者双方に大きな不利益を与える」との理由で、104ページ中102ページを真っ黒に塗りつぶした文書を出してきました。ほぼ全面非開示とされたのは、事故の本当の原因は人為ミスではなく、構造的欠陥、設計ミスである可能性が非常に高いため、それを隠蔽したかったのでしょう。これひとつとっても、日立造船の言う「技術ノウハウ」などないと断定せざるを得ません。
 環境省は、本事業をすすめるにあたって、くりかえし「安心・安全」をアピールしていました。しかし、現実には、起こるはずがなかった事故が起きてしまった。しかし、その後もなお、環境省も日立造船も、現地の鮫川村民に何ひとつ敬意も注意も払っていないことが明らかになり、村民、請求人の疑惑と不安はさらに募りました。そして、2013年12月には施設撤去を求める署名つき抗議文⑥を環境大臣に提出しています。請求人は、このような事情を背景に、本施設の安全性がどのように担保されているのか知ろうと公開請求を行ったものです。その努力もむなしく、鮫川村長ら一部関係者の了承を得たとして、2014年3月には再稼働を始めています。

 【311後の環境省の政策-減容化】
 私たちが、環境省によるこの実証事業に対し強い不安と不信を持っているのは、それ相当の理由があります。なぜなら、311以前、放射性物質を含む廃棄物が原子炉等関連施設以外に飛散することを想定した法令は、意図的に制定されてこなかったからです。
 しかし、法律に規定のない(放射性物質の一般環境中へ飛散を伴う)巨大事故が現実に起きてしまった以上、政府は国際的な核廃棄物管理の原則にもとづいて、汚染物の移動を避け、「閉じ込めて長期管理」することが求められます。ところが、環境省は、そんな国際常識とは正反対の道を選び、放射性廃棄物の処理・管理は、基本的に「減容化」で対応することを決定してしまったのです(減容化に向けた取組み | 指定廃棄物処理情報サイト| 環境省)。
 「減容化」とは、放射性廃棄物を「焼却」することによって、すべての放射性廃棄物をバグフィルターで除去し、灰(底灰・飛灰)に閉じ込められるという理論にもとづく処理法です。しかし、その証明はどこにもなく、請求人は海外文献を含めて細かく検索しましたが、現在に至るまで、この理論の正しさを証明する論文は入手できていません。それどころか実験例でさえ探し出すことはできず、本事業が、世界のどこでも行われたことがない、初の実験であることは、ほとんど間違いありません。

 【放射性廃棄物焼却処理のノウハウはあるのか】
 実験レベルである以上、日立造船が、「焼却処理によって放射性廃棄物を管理する」ためのノウハウを蓄積している、などということはありえません。上記「仕様書」には、「8000bq/kg超の農林業系副産物を焼却した事例が少なく」と記されていますが、8000bq/kgどころか、廃棄物処理法は「放射能およびそれによって汚染されたものを除く」との除外規定があり、たとえ1ベクレルでも放射能によって汚染されていたら、廃棄物処理法上、ごみとは見なせない=処理(焼却)できない=システムでした。なぜなら、焼却処理は基本的に「開放処理」「拡散処理」であり、焼却によって汚染が拡散することが認識されていたからです。焼却炉の高い煙突は、焼却排ガスに含まれる有害物質を、広い範囲に散布するための装置にほかなりません。そして、いったん排ガスとして大気中に出た汚染物質は二度と回収できません。
 一方、原子炉等規制法では、放射能を帯びた廃棄物は、収集、運搬、管理に至るまで、すべて許可制とされ、移動も保管も厳密にチェックされ、最終処分の際も汚染を外に出さないように地下埋設することなどが定められています(原子炉等規制法第五章の二 廃棄の事業に関する規制(第五十一条の二―第五十一条の二十六) )。

 したがって、放射性廃棄物の焼却は、たとえ実験レベルといえども、実施することさえ難しく(違法行為であるため法的特例が必要、また、汚染が拡散しないように厳密な監視が必要)、日立造船であれどのメーカーであれ、平時では「ノウハウ」など蓄積できるはずがないからです。もし、日立造船が「放射能に汚染された廃棄物を安全に焼却するノウハウ」を有しているとしたら、それは違法行為の中で積み重ねられたノウハウであり、そのこと自体が重大な法律違反として問題にされなければなりません。請求人らは、本請求を非開示としたのは、環境省が日立造船と共謀して、悪質な犯罪行為を働いている証拠を出さないようにしているのではないかとの、合理的な疑いを捨てきれないでいます。


 5 非開示箇所は「任意提出情報」であるはずがない

 日立造船はその意見書の中で、「当該情報は、公にしないとの条件で任意に提供したもの、もしくは、公にしないとの条件が当時の状況等に照らして合理的と考えられる情報であって、これは情報公開法第5条第2号ロに該当する」と述べています。
 上述通り、安全性が確認されていない実証施設が爆発し、住民の生命・健康に重大な脅威をもたらしたというのに、日立は「公にしない」との約束があるから非開示にするというのは、それこそ非合理、非倫理的であり、むしろ犯罪的と呼ばざるを得ません。
 同法5条2項は、「秘密特約」を認めたとして悪評が高いものですが、本文ただし書きで除外規定を設けており、「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」の場合、当然ながら公開されなければなりません。

 第5条第2号(不開示情報2―法人等情報)
 法人その他の団体に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、次に掲げるもの。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。
ロ 行政機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたものであって、法人等又は個人における通例として公にしないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの
 環境省と日立がどんなに隠したくても、このただし書き(及び現実)を適用して、非開示部分は公開すべきです。
 また、日立造船もその意見書で、「・・・また、これらの情報は、環境省が福島県に届出書を提出するために必要な情報として、当社が任意に提供したもの…」と書き、これらの届出が「(許可に)必要な情報」であることを認めています。関連法に規定されている届出は、必要事項をもれなく記載しなければ「許可」など下りず、「任意の提供」であるはずがありません。環境省がこれらの情報を「隠すべき任意情報」としてしまったら、事業の安全性、公正さを自ら否定することになってしまうことを認識すべきです。

 6 いったい何を隠したいのか

 請求人は今回の請求に際し、まず、「工事着工前届出リスト」を入手しました。そこには一般の(まともな)事業なら、当然提出するはずの13件の文書が並んでいますが、環境省はそのうちの4件を部分開示しただけで、その他については存否も明らかにしていません。部分開示された4件についても、情報公開室に原ファイルの持ち込みを拒否し、請求人が求めた原資料とコピーの突き合わせも行っていません。環境省が隠したがっているのは何なのか知るために、非開示部分をの「意味」を考察してみました。

 【大気汚染防止法の届出】
 まず、大気汚染防止法第6条にもとづく「ばい煙指定施設設置届出書」では、環境省はばい煙指定施設の種類及び構造の「燃料の焼却能力」「火床面積」、ばい煙指定施設の使用の方法の「発熱量」「通常の使用量」「排出ガス量(湿り、乾き)」「排出ガス温度」「排ガス中の酸素濃度」、ばい煙の処理の方法の「排出ガス量」「排出ガス温度」「ばいじん濃度(処理前)」を非公開としています。しかし、これらの項目はすべてノウハウとは無関係の数値にすぎず、大気の保全を目的とした同法の性格上、公開されてしかるべき数値ばかりです。参考として、下に東京都の「届出の書き方」例をあげますが、これを見ると、単なる数字を「ノウハウ」などと強弁できるはずがないことがよくわかります。
http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/air/attachement/記入例(設置届).pdf

 【ダイオキシン特措法の届出】
ダイオキシン特措法第12条第1項は、特定施設を設置する者に、以下の届けを義務付けています。
一  氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二  特定事業場の名称及び所在地
三  特定施設の種類
四  特定施設の構造
五  特定施設の使用の方法
六  大気基準適用施設にあっては発生ガス(大気基準適用施設において発生するガスをいう。以下同じ)、水質排出基準(第八条第三項の規定により定められる排出基準のうち、排出水に係るものを含む。)に係る特定施設(以下「水質基準対象施設」という)にあっては当該水質基準対象施設から排出される汚水又は廃液の処理の方法

 このうち、環境省は、特定施設の構造の「火床面積」、特定施設の使用の方法の「排出ガス量」「排出ガス温度」「排出ガス中の酸素濃度」、そして発生ガスの処理の方法のうち「煙突の直径」を非公開としています。
 「火床面積」も非公開ですが、これについては、環境省が「仕様書」で指示しており、これを非開示とするのは、実際の施設が環境省の指示を大きく逸脱している――契約違反が考えられる――との、合理的な疑いが出てきます。その意味でも、これらの部分は公開すべきです。その他の非開示部分も、大防法の届出同様、単なる数値にすぎず、ノウハウとみなされるものではありません。それどころか、ダイオキシン類が、「廃棄物焼却炉の中で生成される」という特異な性質をもつ物質である以上、その発生を抑えるために、必ず公にすべき情報です。参考として、これも東京都の記入例を下にあげておきます。
http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/air/attachement/D_settirei.pdf
 環境省は、ごみ焼却炉から大量のダイオキシンが発生している事実に鑑み、ダイオキシンガイドライン(1997年)、ダイオキシン特措法(1999年)などを制定し、「24時間連続炉、排ガス滞留800℃ 2秒以上」などの施設設置基準を定めています。ところが、自ら事業者として建設した鮫川の実証施設は、ダイオキシンの発生が最も大きくなる間歇式焼却炉であり、これはダイオキシン特措法に違反しています。
 それ以外にも、環境省は、このダイオキシン特措法にもとづく届出(平成24年10月30日)後、60日間は事業着手ができないことを知りながら、これを無視して早期に事業を開始し、住民から指摘され、あわてて工事を一時中断したという違法行為を犯しています。
 ちなみに、廃棄物焼却炉の中で生成されるダイオキシンは「分解困難な有機汚染物質(POPs)」であり、国際条約でその発生源を無くすよう求められており(POPs条約別名ストックホルム条約)、日本も批准しています。
 廃棄物焼却炉がダイオキシン発生の源泉であり、一刻も早く停止に追い込むべき公害施設であることは、環境省はどの省庁よりも認識しています。それにもかかわらず、ダイオキシン発生量が最も高いシステムを採用し、関連データを隠蔽する環境省は、まさに犯罪的であり、もはや環境行政を司る資格はありません。

 
 【騒音指定施設設置届出】
 福島県環境保全条例にもとづく「騒音姿勢施設の設置届出」に関しては、墨塗り箇所があまりに多く、普通公開され、パンフレットにも乗っているような「型式」を非公開とするなど、やはり異常が目立ちます。しかし、大気汚染防止法、ダイオキシン特措法と考え合わせると、空気圧縮機、送風機の型番を非公開とした「意図」がわかるような気もします。というのは、鮫川村の「傾斜回転焼却炉」が、騒音の面でも欠陥があったことを示す事件がすでに起きているからです。
 
 「愛知県春日井市で2000年ごろに計画が持ち上がった産廃処理施設の焼却炉と同じタイプ。春日井では汚泥や廃油、廃プラスチックなどを日量43トン、傾斜回転床炉で燃やす計画だった。ほとんど実績のなかった焼却炉を住宅地周辺で運用することに住民が猛反対したのはもちろん、試運転自体もトラブル続き。騒音や排ガスの規制値をクリアできず、2010年に愛知県の設置許可が取り消され、業者は操業断念に追い込まれた。」
(鮫川村で進むあまりにも強引な焼却炉「再稼働」計画 2013年10月27日 
http://bylines.news.yahoo.co.jp/taketosekiguchi/20131027-00029260/ )

 本施設は、傾斜させたドラム缶を回転させ、中の廃棄物を攪拌しながら償却するという特異な構造であり、常時、金属がこすれ合う騒音や、内容物が動く音が発生しているものと思われます。しかも、環境省と日立が騒音関係の資料を非開示としているのは、春日井市の前例を認識していることを示しており、市街地ではとうてい許可されないレベルの騒音が発生していることはまちがいないでしょう。しかし、そのことは、情報を非開示とする理由にはなりません。

 【電離則にもとづく届出】
 電離則にもとづく「事故由来廃棄物など処分業務に係る作業届出」は、爆発事故後の作業内容を知り、放射能汚染にどう対処しているか知るために開示を求めたものです。しかし、驚くべきことに、環境省は作業の期間や作業区分さえ「非公開」としました。これでは、事故直後の「放射能の飛散はなかった」という公式発表と食い違うため、それを隠そうとしたとしか考えられません。
 電離則の届出は個人情報以外はすべて公開されるべきです。地元の人々は、村に建設された施設で何が行われているか、そこからどのような汚染物質が出ているか、知る権利があります。その知る権利は、フクシマ後の今、住民の基本的人権・生存権そのものであり、今回の開示を通して、環境省が「公正さ」を取り戻すよう強く望みます。


 7 考察――「実証」施設ではなく、単なる焼却炉

 以上、環境省と日立造船が非開示としているのは、主に「大気への排出量関係の数値」であることがわかりました。これは、本事業が、実際は「実証施設」でもなく、企業ノウハウがからんでいるわけでもないことを示しています。
 なぜなら、本当に「実証施設」であれば、安全性を確認するための基礎的なデータが確立されており、実証試験に関しても、基本計画などで具体的な手順や評価方法などを事前に定めておく必要がありますが、そのようなものは存在していないからです。
 また、廃棄物の処理施設という性格上、安全かつ確実に処理ができるだけの技術的水準に達していることが求められますが、爆発を起こしてしまっては、一般の廃棄物焼却炉としても使いものにならないからです。
 さらに、鮫川の現場で作業しているのは下請けか現地採用の村人が主で、「実証調査」を指揮できるような技術者・科学者が常駐していたという事実はありません。また、事実上、作業を監督できる人もいませんでした。環境省は第2次事故報告書で、本来は閉めておかなければならない灰ゲートが、三日間、「開」にされていたのが事故原因だとしています(注:第1次報告書では、「当日の朝閉め忘れた」となっていた)。環境省の聞き取りでも、現場作業員が、不完全燃焼を解消しようとして「自らの判断で」ゲートを開けたせい、とのことでしたが、「実証施設」なら、こういう事態が起こるはずがありません。稼働中にどのような問題が起きるのか、厳密にチェックするのが実証施設であり、マニュアルに反してゲートを三日間も「開」にしておくことなど考えられず、それを所長が把握してもいなかったとしたら、この施設が「実証」とは縁もゆかりもないことを示しています。
 では、鮫川の「実証施設」とはいったい何なのか? 
 「実証」などとは無関係に、手当たり次第に放射性物質を含む農林系ごみを燃やしているごみ焼却炉に過ぎません。
 つまり、環境省が実証しようとしているのは、「指定廃棄物を焼却しても放射性物質を大気中に放出しないようにできる」ことではなく、8000bq/kg超えという、原発事故以前には考えられもしなかった高濃度の放射性物質を含む廃棄物を焼却し、それによって大気中に放射性物質が放出されるという事実を明らかにしないまま、社会的=政治的に支障なく事業を遂行することができることを実証しようとしていると考えられます。大気放出量関連のデータを非開示としたのは、実際は、環境省がこの実証施設から、気化した放射性物質が大量に外部に出ていることを認識しているという意味でもあります。

 もうひとつ、この考察を裏付けるのが、請求人らが求めた、「外部の専門家による、排ガスの直接測定」が、一度は了解を得ながら、現場では拒否されたということでした。この測定方法を考案した科学者は、「放射性セシウムを含む廃棄物を焼却することで、放射性セシウムを大気中に再拡散させるメカニズム」および「国が定めた測定法では排ガス中の放射性セシウムを検出できないこと」を自らの記事で明らかにし、http://peacephilosophy.blogspot.jp/2013/11/blog-post_22.html
 ユーチューブで、実際にその主張を裏付けるビデオをアップされています。
http://www.youtube.com/watch?v=up-tKf9MlPw&feature=youtu.be

 この「実証施設」からは、連日、大気への放射能排出が続いているはずですが、環境省は虚偽説明を重ねて、この施設の「有効性」を主張し、稼働終了の後は、全国に同様の施設ができ、一斉に高濃度放射性廃棄物の焼却処理が始まるはずです。
 焼却炉からは、それ以外にも日常的にダイオキシン類、有害重金属類、大量のPM2.5やナノPMなど公害物質が出ていますが、気化したものはバグフィルターでとらえることはできず、そのまま長期間大気中をただよって広範囲の地域を汚染し、再び、人間の生活圏に戻ってくることがわかっています。
 この情報非公開は、政府が説明責任を拒否しているだけでなく、積極的に隠蔽工作を行っていることを示しており、審査会としては、個人情報を除くすべての情報を公開すべく、意見を出していただきたい。

 なお、請求人らはこの違法施設をただちに停止・撤去すべきと考えていますが、人口の少ない山村の限界集落では、住民が金権と脅しに抗うことができません。そのため、ぜひ住民に代わり意見陳述したく、その機会を与えてくださることを望みます。以上



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